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パニック障害について


パニック障害の特徴

パニック発作

不安や恐怖、緊張が極度に高まった状態で心と体の様々な症状が出ます。息が出来ない、呼吸の仕方が分からなくなって窒息する感じ、まるで水の中で溺れている感じ、動悸、心臓が口から飛び出してしまいそうな感じ、冷や汗をかいて体がガクガク震える感じ、体に力が全く入らない、気が遠くなって失神しそうな感じ、このまま気が変になってしまうのではないかという強い恐怖感などが主な症状です。
通常、横になって休んでいれば、数十分程度でおさまりますが、症状が一時的に激しく出ることがあるので、救急病院に搬送されることもあります。体の検査では異常がみつからないため、後日メンタルクリニックを受診する様に言われて帰宅する方がほとんどです。

予期不安

「また発作が起こるかもしれない」という不安が持続した状態です。また発作が起こったらどうしよう、このまま死んでしまうんじゃないか、もう治らないんじゃないかなどの考えが頭から離れなくなります。パニック発作は経験した人にしかわからない強い恐怖感を本人に与えてしまいます。水の中で溺れそうになった経験をした人は、とりあえず水に入らなければ安心できます。
ところが、パニック障害では空気の中にいるのに突然息が出来なくなって溺れるような感覚がやって来るわけですから、どこにいて何をするにも強い不安を感じてしまいます。予期不安は、前回パニック発作が起こった場所や苦手な状況(車の渋滞や高速道路、電車や飛行機などの公共の乗り物、美容院や歯科医院などの身動きがとれない場所)などに大きく影響されます。

広場恐怖

公共の場所に対して不安を強く感じる症状のことです。もしパニック発作が起こった場合に、みんなの前で恥ずかしい思いをするかも知れない、すぐに助けを呼べないかも知れない、すぐにその場から逃げられないかもしれないという不安のことで、駅前やショッピングセンターなどの大勢の人が集まる場所が怖くなります。広場とは広い場所という意味ではなく、ギリシャ語で集会場や市場などの公共の場所を指すアゴラ(agora)に由来しています。

治療

パニック障害は、不安や恐怖感をコントロールする脳の一部(扁桃体や海馬、帯状回など)が過剰に活動することによって起こることが分かっています。また、脳内の神経伝達物質(ホルモン)のセロトニンが不足していることや、GABA(γアミノ酪酸)のはたらきが弱まっていることもわかっています。これらを補って脳内の物質のバランスを正常な状態に戻していくことが治療にはとても重要になります。

薬物療法

パニック障害の薬物療法には主に2つの種類の薬を使います。
選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる種類の抗うつ薬はパニック障害にも効果が高く、脳内のセロトニンのバランスを改善するのに有効です。また、抗不安薬(安定剤)はGABAのはたらきを高めることによって、不安や恐怖感に大きな効果があります。特に抗不安薬は即効性があるため、頓服として常に持ち歩いていれば外出先でも安心感が得られます。
パニック障害の病態は噴きこぼれたお鍋に例えることが出来ます。不安が高まっておこるパニック発作はお湯が噴きこぼれた状態で、すぐに差し水をすればその場はおさまります。差し水は即効性がある抗不安薬のようなものです。しかし放っておくとお鍋はまた噴きこぼれてしまいますので、どこかのタイミングでガスの火を弱くする必要があります。火力を弱めるように不安の原因を抑えていくのがSSRIの果たす役割です。

精神療法

分からないということだけで余計に不安が強まります。まずは病気について十分に理解することが大切です。そして、不安が高まった時の対応法をひとりひとりの症状にあわせて考えていきます。パニック障害は脳の病気ですので、気合いだけでは決して良くなりません。苦手な状況にあえて立ち向かう方法(暴露療法)は治療が進んで十分に不安が和らいだ状態でやるべきでしょう。その際も、医師と十分に相談しながら少ない負担で短時間から始めましょう。